2018秋アニメ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」通称青ブタの13話までの感想です。途中からネタバレを含むのでご注意ください。
まず言わせてください・・・
かえでちゃああああああん・・・・・(`;ω;´)
久しぶりに映像作品で泣いてしまいました・・・Angel Beats以来くらいかな・・・
どんなアニメ?
タイトルと番宣の絵を見ると「バニーガールが出てくる萌アニメ、もしくはふざけたアニメ」と思うかもしれませんが、全然違います。バニーガール要素は1.2話分くらいです。
短く言えば、仲間外れにされたくない、自分の心に素直になれない、あの人が羨ましい等々、誰もが持っているであろう心の問題が現実を歪める「思春期症候群」、そんなものは都市伝説だと皆は信じませんが、これを主人公が解決していく、そんな「人の心」に焦点を当てた物語です。
以下、ネタバレ要注意です。
ここまでの解説で「面白そう!」と思った方は、ここから先は読まずにアニメを見ることをおすすめします。
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もちろん主人公、ヒロインも魅力的です!
まず、この作品に出てくるキャラクターはほぼ全員、物分りが良いです。頭の良さ(知識の量)には違いはありますが、現実の人間にある、不条理や個人の中での矛盾は少ないです。これを良いとするか悪い(リアルじゃない)とするかは人それぞれですが、自分は好きですね。このおかげで、会話のテンポがとても良い。物語シリーズに似ていると言えるかもしれません。
この作品の主人公、「梓川咲田」は良い意味で空気を読まない、おどけた性格の持ち主です。外見はやる気のなさそうな顔・髪型に加えふざけた言動ですが、このご時世に全校生徒の前で先輩に告白したり、友人のために台風の中倒れるまで全力疾走したりと、やるときはやる、まさにこの言葉がふさわしい主人公です。
ヒロイン達も魅力的です。王道的ツンデレかつ正妻力抜群だがリアルな嫉妬もしてくれる麻衣先輩、これまた王道的後輩系ヒロインだが最後は魅せた古賀、恋人持ちの主人公の友人に恋する、つまり叶わぬ恋を抱く主人公の良き相談役双葉、そして他にもまだヒロインはいますが、やはり自分にとって一番のヒロインは、主人公にとって様々な意味でかけがえの無い存在であった「かえで」・・・
一見よくいる兄にベッタリの妹キャラ「かえで」だったが・・・
まさかこんなに壮大な伏線が仕込まれていたとは・・・というのが#13を見た感想です。13話の冒頭、咲田はトイレに行くと言って病室を出た後、病院を出る前から叫んで病院から逃走、雨が降る中病院の前の道路に倒れ込み泣きじゃくります。そしてこんな時に限って(こんな時だからこそ?)思春期症候群が原因と思われる胸の傷からも出血・・・ここで自分も泣いてしまいました。
だって、そりゃ花楓の記憶が戻ったのは良いことです。咲田の母が精神を病んでしまったのもそれが原因なので、それが解決した以上、家族はまた一緒に暮らせるようになるかもしれません。
しかし、記憶を無くしてからの「かえで」は消えてしまったのです。亡くなったと言っても良い。咲田が高校に入学したあたりから日記は始まっていたので、「かえで」として存在したのは1年半ほどということになりますが、「かえで」の記憶が消えたからと言ってこの1年半が消えて無くなる訳ではありません。むしろこの1年半は「かえで」にとっては大変なものだったのは予想に難くありません。知らない兄と二人暮らし、その兄も学校やバイトで家に常にいるわけではなく、一人で留守番もあり、また特に「消える」直前は本当に「かえで」は頑張っていました。自分が消える・消えなければならないことを察し、自分が消えた後に兄が後悔しないように自身のトラウマに立ち向かったかえで。
咲田にとっては、「花楓」も「かえで」も、どちらも大切な妹です。ですが、視聴者にとって、そして咲田にとっても、より頑張っているように見えたのは「かえで」の方でしょう。もちろんいじめを受けていた「花楓」も大変な思いをしています。その辛さから自分を守るため生み出された「かえで」。つまり「かえで」は「花楓」の辛さを引き受けるための、現実から逃げるための人格だった訳ですが、そんなかえでが最後には自分の生まれた理由に逆らってまで、外に出ようとした。それはもちろん兄のためです。1年半という短い期間ではあったが、かえでは兄の自分に対する兄弟・家族としての愛、そして守れなかった後悔をしっかりと感じていた。また自分が花楓の乖離の結果生まれた、つまりずっとは存在していられない存在だということが分かっていた。だから自分の最も苦手なこと(生まれた理由から言って「不可能なこと」と言っても良い)に立ち向かい、見事達成したかえで。そしてそれを支えた兄、咲田。
こんな状況で、こんなに頑張った、辛さを引き受けた、そしてトラウマを克服までした「かえで」が突然目の前で綺麗さっぱり消えてしまっては、あの咲田があれだけ取り乱すのも無理はありません。だって不条理じゃないですか。あんなに頑張った結果、自分(かえで)が消えたんじゃしょうがない。そして、自分のためを思ったその行動も、消えた後ではなおさら突き刺さる。究極の自己犠牲です。
そして、このあたりの話はまだ先の展開次第ではありますが、おそらく「かえで」は帰ってこないでしょう。なぜなら、かえでが生まれたのは思春期症候群が原因では無いと思われるからです。他のヒロインと違い、花楓の乖離による記憶喪失はしっかりと「病気」として扱われています。病院の先生が症状を断定していないのがただの演出なのか伏線なのかは分かりませんが、今の「花楓」がまた消えて「かえで」が出てくるということは無いでしょう。というより、あってはなりません。それは花楓につらいことがあったということですし、おそらく第二の「かえで」はまた初めからでしょうから・・・
つまり、咲田もまた悲しまなければならないということで、それはあってはならないことなのです。咲田にとっても、梓川家にとっても、花楓にとっても、そしてなにより「かえで」にとって・・・
これから先の展開も気にはなるが・・・
今はかえでの事で頭がいっぱいです。確かに翔子さんや咲田の胸の傷、そしてタイトルは誰のセリフなのか等の伏線はまだありますが、かえでが帰ってこない、帰ってこれないことを考えると・・・視聴継続がつらいですね・・・
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